« 2009年8月 | トップページ | 2009年10月 »

2009年9月

2009/09/29

両手を空けて

 9月中旬以降、小学校の運動会やら建築関係の講習会やらマンション役員の仕事、そして連休は夫の実家で農作業の手伝い…本業の仕事はないのに(泣)、なぜこんなにあわただしいのか(笑)。
 
 そんな中、外出するときにはできるだけ「両手をあける」ようになりました。
 
 子どもを連れていると「とっさの時に子どもを捕まえられる」ようリュックを使うことが多かった私も、仕事関連の講習会はショルダータイプのバッグを使ったりしていたのですが…試しにやめてみるとこれがかなり快適!
 
 歩けるんです。歩いても、疲れ方が違います。不思議なことに楽しさが増えるんです。
 
 歩くって、脚だけで歩いているのではないんですね…。
 
 手の振り…ひいては胴体の動きが大きく影響しているようです。リュックでは手が自由なこと、荷重が肩や腰にバランス良く配されることが大きな利点です。
 小学生の鞄が「ランドセル」なのは機能的に見て非常に合理的ってことですよね(楽にもてる、歩ける、体の成長を妨げにくい)。
 
 出かけて帰ってきても、そこに家事が待っている身としては簡単に疲れるわけにはいかないので、しばらくは「両手を空けて歩く」ことを優先して出かけたいと思っています。
 デザイナーの佐藤可士和さんは普段の通勤にバッグを持つことすら無いそうです。職種によっては難しいかもしれませんが、それでも、鞄と上着は会社に置いておき、通勤は小さなリュックで…など工夫の余地はありそうです。
 
 よく小さなお子さんを連れて散歩するお母さん、見かけますよね。
 あれをみて「主婦はいいなぁ」と思う方、一度やってみるとその苦労がわかります。お子さんの方は歩いてますが、お母さんの方は歩いていないのです。手はふさがり、子どもに合わせてゆっくりと、そして何度も立ち止まらねばならない…全く自分のペースで歩けないのです。
 あれは「散歩」ではなく「育児」なのです。
 
 まもなく10月、散歩やウオーキングには良い季節です。「両手を空けて」歩くと、ことのほか自由を感じられそうです。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/09

世田谷美術館

 前回に続いて建築の見学研修会の話です。
 用賀プロムナードを歩き、砧(きぬた)公園を歩き、次の目的地、世田谷美術館です。
 
Blogdsc01906  世田谷美術館(設計:内井昭蔵建築設計事務所 竣工:1985年)。
 元ゴルフ場だった、砧公園内にあります。樹木に隠れて、うんと近づくまでは全体を見るのが困難です。
 
 公園内にある、地域の人たちのための美術館がどういう形態であるべきか、真摯に考えられ、訪れた人にも愛されている建物です。
 
 今回は、内井事務所で設計・監理を通してこの美術館に深く関わった、幸田 章さんの解説のもと、普段見ることが出来ないバックヤードも含め見学させていただきました。
 
 子供達は、はじめこそ「公園で遊びたい~!」と駄々をこねておりましたが、どうやらただの美術鑑賞ではないとわかり、それなりにおとなしく「参加」していました。(当日の参加者の皆さん、講師やスタッフの皆さん、いろいろと配慮いただきありがとうございました!)
Blogdsc01907  
 建物の大きなポイントは「高さ」と「素材感」と「」です。
 
 公園内の美術館として、公園の一部となるよう外観の高さを抑え分棟形式とし、必要なボリュームは地下に持ってきています。また、内部も大作を展示する空間の他に天井高2.4メートルの、住宅の居間のような空間もあり、展示空間は比較的小さな単位で区切られています。
 先般紹介した東京国立博物館とは考え方も空間も全く異なることがわかります。
 
 設計者の内井昭蔵さんは、この美術館を「書斎」に行くように訪れて欲しいと考えたそうです。観覧者の少ない日を選んで、椅子にゆっくりと腰掛けて作品を見たり、廊下で休んだりできれば、この美術館の良さを満喫できるでしょう。
 実際、「疲れにくい」という感想をもらうそうです。
 
 外観はプレキャストコンクリート打ち込みタイルですが、平板で堅い印象となるのを避け、形や表面仕上げ、目地に工夫を凝らし柔らかい印象に仕上げています。美術館全体を通して石やタイル、木材や金属とあらゆる素材が使われていますが適材適所、素直に配しているため雑然とした感じは受けませんでした。
 
 収蔵庫は床がブナ、天井と壁がケイカル板下地の杉板張りでいずれも無塗装。
 ケイカル板と壁の杉板との間に空気が流れるようになっており、湿度調整の役目を果たします。人の出入りが制限される特殊性もあり、大変きれいに維持されており、築20年ながら木の香りが漂ってきたほどです。
 
 窓は多くの美術館がスクリーンを降ろした状態で使用するか、または設計上窓を少なくして建てられている中、非常に開放的な印象を受けます。見学した日も窓から柔らかい光と木々の緑が感じられました。世田谷美術館では窓に紫外線防止フィルムを貼って作品の劣化を防いでいるそうです。
 
 設計理念に忠実に建物を実現させ、維持することには大きなエネルギーを必要とします。
 世田谷美術館はそれに成功した建築であり、開かれた公園美術館として地域の人に愛されて20年、銅版画などの作品製作が出来るアトリエの稼働率も良いそうです。
 
 時間をたっぷり取って、ぜひお出かけ下さい。
 波や渦をイメージした装飾を探すのも楽しいです。
 
 見学を終えて、再び用賀プロムナードを通り、用賀駅へ…
 設計者から直に解説を受けることができ、駆け足ながらも充実した1日でした。
 研修会が始まって4時間、3キロたっぷり歩き、子供達はぐったりしていましたが、がんばってくれました!次男は帰りの電車で爆睡(笑)…おつかれさま。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/02

用賀プロムナード(東京都世田谷区)

 8月27日、所属する建築士会の見学研修会として、東京都世田谷区にある用賀プロムナードと世田谷美術館を見学してきました。
 
 例によって子連れ参加…「お母さんに付き合って、しょうがなく出かけた」子供達、家から片道2時間、さらに3時間以上の見学会に耐えられるのか?
 
 まずは用賀プロムナード。象設計集団+計画技術研究所 設計、1986年。
Blogdsc01893  
 これは建築物ではなく、用賀駅と都立砧公園(きぬたこうえん)を結ぶ約1Kmの生活道路の修景計画です。たとえ、車の入り込む生活道路であっても住民の憩いの場として計画できると言う好例です。
 
Blogdsc01900  23年経って、緑は深くなり、親水空間はより魅力を増しているようです。
 最初はつまらなそうにしていた子供達も、目の色が変わってきました。我が家の子供達はそろって引っ込み思案なのですが、うれしそうにアーチ状の橋を渡り、水面を眺め、木々を見つめて昆虫探し…。
 たまたま来ていた保育園の一行も楽しそう。職員の方が「いいですよ、ここは(^^)」。
Blogdsc01898  
 ここには経済効率を考えたら「余計なもの」がたくさんあるんです。敷き詰められた瓦には百人一首がかたどられ、所々には鬼瓦がにらみをきかせ、歩道とともに水路も走り(この水路、月に2回都が清掃を行っているそうです)…オブジェのような椅子や橋も。
 
Blogdsc01891  でも、「住民のコミュニティーを、道路によって寸断しない」という目的においては無駄なものは一つもないと思いました。同じ駅に行くのでも、普通の道よりもこのプロムナードを歩く方が楽しいもの(^^)
 
 水路も、きれいに保つために都が清掃していますが、私たちが行ったときに近所の方が落ち葉を取り除いておられました。少し話を聞いたのですが、「だから面倒で困る」という話にはならないんです。もう、すっかり生活の一部に溶け込んでいるようです。すばらしい…。
Blogdsc01905  
 以前紹介した宮代町の進修館もそうなのですが、愛される何かを、象設計集団の計画は持っているのです。
 
 それは何なのか、ちゃんとつかめたわけではないし、これからも考え続けることになるのでしょうが、視覚だけに限らない、「身体感覚」を大事にしているのは確かだと思います。身体感覚を大事にした建築…だけど人間のためだけに建てているのでもないように思います。
 
 一応人間のために建てるんだけど、役目が終わったら植物や昆虫、動物が使ってくれそうな…
 
 今回も、そんな懐の深さを感じる見学でした。
 世田谷美術館については次回に!
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年8月 | トップページ | 2009年10月 »