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2009/09/09

世田谷美術館

 前回に続いて建築の見学研修会の話です。
 用賀プロムナードを歩き、砧(きぬた)公園を歩き、次の目的地、世田谷美術館です。
 
Blogdsc01906  世田谷美術館(設計:内井昭蔵建築設計事務所 竣工:1985年)。
 元ゴルフ場だった、砧公園内にあります。樹木に隠れて、うんと近づくまでは全体を見るのが困難です。
 
 公園内にある、地域の人たちのための美術館がどういう形態であるべきか、真摯に考えられ、訪れた人にも愛されている建物です。
 
 今回は、内井事務所で設計・監理を通してこの美術館に深く関わった、幸田 章さんの解説のもと、普段見ることが出来ないバックヤードも含め見学させていただきました。
 
 子供達は、はじめこそ「公園で遊びたい~!」と駄々をこねておりましたが、どうやらただの美術鑑賞ではないとわかり、それなりにおとなしく「参加」していました。(当日の参加者の皆さん、講師やスタッフの皆さん、いろいろと配慮いただきありがとうございました!)
Blogdsc01907  
 建物の大きなポイントは「高さ」と「素材感」と「」です。
 
 公園内の美術館として、公園の一部となるよう外観の高さを抑え分棟形式とし、必要なボリュームは地下に持ってきています。また、内部も大作を展示する空間の他に天井高2.4メートルの、住宅の居間のような空間もあり、展示空間は比較的小さな単位で区切られています。
 先般紹介した東京国立博物館とは考え方も空間も全く異なることがわかります。
 
 設計者の内井昭蔵さんは、この美術館を「書斎」に行くように訪れて欲しいと考えたそうです。観覧者の少ない日を選んで、椅子にゆっくりと腰掛けて作品を見たり、廊下で休んだりできれば、この美術館の良さを満喫できるでしょう。
 実際、「疲れにくい」という感想をもらうそうです。
 
 外観はプレキャストコンクリート打ち込みタイルですが、平板で堅い印象となるのを避け、形や表面仕上げ、目地に工夫を凝らし柔らかい印象に仕上げています。美術館全体を通して石やタイル、木材や金属とあらゆる素材が使われていますが適材適所、素直に配しているため雑然とした感じは受けませんでした。
 
 収蔵庫は床がブナ、天井と壁がケイカル板下地の杉板張りでいずれも無塗装。
 ケイカル板と壁の杉板との間に空気が流れるようになっており、湿度調整の役目を果たします。人の出入りが制限される特殊性もあり、大変きれいに維持されており、築20年ながら木の香りが漂ってきたほどです。
 
 窓は多くの美術館がスクリーンを降ろした状態で使用するか、または設計上窓を少なくして建てられている中、非常に開放的な印象を受けます。見学した日も窓から柔らかい光と木々の緑が感じられました。世田谷美術館では窓に紫外線防止フィルムを貼って作品の劣化を防いでいるそうです。
 
 設計理念に忠実に建物を実現させ、維持することには大きなエネルギーを必要とします。
 世田谷美術館はそれに成功した建築であり、開かれた公園美術館として地域の人に愛されて20年、銅版画などの作品製作が出来るアトリエの稼働率も良いそうです。
 
 時間をたっぷり取って、ぜひお出かけ下さい。
 波や渦をイメージした装飾を探すのも楽しいです。
 
 見学を終えて、再び用賀プロムナードを通り、用賀駅へ…
 設計者から直に解説を受けることができ、駆け足ながらも充実した1日でした。
 研修会が始まって4時間、3キロたっぷり歩き、子供達はぐったりしていましたが、がんばってくれました!次男は帰りの電車で爆睡(笑)…おつかれさま。

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