けやき設計の仕事

2016/01/30

耐震診断に思う

 さいたま市耐震診断員となって、これまで8棟の現場を訪れた。

 さいたま市では「無料でできる耐震診断」として、昭和56年以前に建てられた木造住宅(在来工法)についての耐震診断を促し、耐震改修に結びつける取り組みを行っている。

 市としては耐震診断で危険性を理解してもらい、改修につなげて減災したいという意図があるのだが、現場の印象では「なかなか厳しい」と感じている。

 それはひとえに依頼者の高齢化による。

 自分が70~80代となって、住宅の耐震化にいくら費用が出せるか想像してみる。耐震化だけなら何とかなっても、老朽化した家屋では居住性を考えた場合に給排水の改修や断熱改修も必要となってくる。
 何とか費用を工面したとして、住居の片付け、ゴミ出し、場合によっては一時引っ越しもと思うと気が重くなるのは当然だと思う。そんな思いをして直しても、自身が健康な状態で何年住めるかわからないとなれば尚更だ。

 耐震診断の該当家屋は今の耐震基準の半分にも満たないものがほとんどである。診断員としては一旦改修を勧めるものの、上記のような状況から、他の情報も付け加えることにしている。

 1.耐震シェルターについての助成情報(ベッド廻りだけ、一部屋だけ強度を上げるなど改修に比べ対処しやすい)
 2.市の防災カルテを元に、避難場所の確認や家族間での情報共有を促す
 3.家屋内避難路の確保(通路となる場所に物を置かない等)

 耐震診断をしても直せないから無駄だった…ではなく、耐震診断を防災について考えるきっかけとして「診断して良かった」と思っていただけるよう、これからも考えながら業務に臨みたい。

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2014/12/04

想像以上のお部屋

 大手の会社がリフォームも手がけるようになって、個人で働く自分の存在価値をいやでも考えるようになった。いったい私に何ができるのか?

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 そんな中で二年前、お任せいただいた工事が終わり引き渡しの後で建て主さんからFAXが届いた。

 「私どもの想像を超えたお部屋を作って下さり…(後略)。」

 突飛なことは何一つしていない。水回りを配管ごと取り替え、壁紙や畳を変え、家具をいくつか作った。
限られた予算で建て主さんのために何ができるか悩みながら、完成まで過ごした。家事は全くもっておろそかになったが、それは私に両立の能力がないからだ。

 図面や資料を前に説明しても、たちどころに三次元の姿を想像できる人はそう多くない。きっと完成まで一抹の不安もあったことと思う。
 幸いにも、その不安を取り除く空間作りができたようでほっとした。同時に大切なことを教えられた。

 依頼者の思いに寄り添いつつ、想像を超えた何かを込めること。

 個人で働くとは、きっとそういうことなのだと思う。

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